レーザーマーキング よくある質問(FAQ)
レーザーマーキング機の設定・深彫り・黒マーキング・効率改善など、現場でよくある疑問をまとめて解説。精度と生産性を両立する実践的なヒントを紹介します。
レーザーマーキング機の赤いプレビュー枠が表示されない場合、原因の多くはソフトウェア設定またはプレビュー速度にあります。 以下の手順に沿って設定を確認してください:
- 「プレビューツールバー」が有効か確認:
Marking Mate ソフトを開き → 上部メニューの 「表示 (View)」 をクリック → 「プレビューツールバー (Preview Toolbar)」 にチェックが入っていることを確認します。 (ショートカットキー F7 でも切り替え可能です)
* ヒント:「プレビューツールバー」は通常、画面の右側パネルに表示されます。
- 赤色プレビュー速度を調整:
プレビュー枠が消える場合、速度設定が適切でない可能性があります。 3000~6000 の範囲に設定することを推奨します。
速度が高すぎる、または低すぎると赤枠が正常に表示されないことがあります。
注意: 上記の設定を完了後、再度プレビューを実行して正常に表示されるか確認してください。 それでも表示されない場合は、レーザーヘッドの赤色光モジュールの通電を確認するか、ヤオホンテクノロジー株式会社のアフターサービスまでお問い合わせください。
文字がぼやけたり欠けて見える場合、主な原因はフォーカスのずれやレンズの汚れにあります。 以下のチェック項目と改善手順を順に確認してください。
主な原因:
- レンズパラメータの設定ミス: Marking Mate ソフトの「使用レンズ」設定が実際のレンズと異なると、焦点深度が合わず線がぼやけます。
- 焦点距離のずれ: レーザーが材料表面に正確に合焦していないため、出力エネルギーが分散します。
- レンズの汚れや劣化: レンズにホコリ・油分・傷があると、光の透過率が下がりマーキング品質に影響します。
改善・確認手順:
- レンズ設定の確認: Marking Mate ソフトを開き、「ワーキングフィールド」内の「使用レンズ」設定が実際のレンズ仕様と一致しているか確認します。
- 焦点距離の調整: 焦点ゲージまたはテストマーキングを使い、Z軸を微調整して材料表面に正確にフォーカスを合わせます。
- レンズの清掃: 無塵布と医療用アルコールでフォーカスレンズおよび保護レンズを優しく拭き取り、光学部品を清潔に保ちます。
上記の手順を完了すると、 文字の輪郭や線の鮮明さが大幅に改善されるはずです。 それでも問題が解消しない場合は、ヤオホンテクノロジー株式会社 のアフターサービスまでご相談ください。 専門スタッフがレーザー出力と光学系の状態を確認いたします。
ステンレスのレーザー黒発色(Laser Black Marking / アニーリング)は、金属アートや工芸品などに多く使われる高精度な表面マーキング技術です。 金属表面を傷つけずに酸化膜を形成し、深みのある黒色の模様を表現することができます。
おすすめ設定ポイント:
- マーキング速度を下げる: 走査速度を遅くすることで熱入力を安定させ、表面の焦げや傷を防ぎます。
- レーザー出力を下げる: 中~低出力に設定し、エネルギー密度を抑えて素材の損傷を防止します。
- パルス周波数を上げる: 高周波にすることで均一な酸化膜を形成し、より深い黒を実現します。
- 薄層マーキングを重ねる: 何度か薄く刻むことで滑らかな表面を保ちながら黒の濃さを調整します。
これらのパラメータを微調整することで、くっきりしたエッジ・均一な黒発色・滑らかな表面が得られます。 最適な設定はレーザーの種類や素材の組成、焦点距離によって異なるため、量産前に小規模なテスト加工を行うことをおすすめします。
金属レーザー深彫り(Laser Deep Engraving) は、レーザーエネルギーを多層的に重ねて金属表面を精密に除去する加工技術です。 より深く、エッジの立った美しい彫刻を実現したい場合は、以下の設定ポイントを参考にしてください。
設定のポイント:
- 中〜短焦点レンズを使用: エネルギー密度を集中させ、材料除去効率と深さ制御を向上。
- レーザー出力を上げる: 高出力で加工深度の蓄積を早めますが、過熱や溶融に注意。
- パルス周波数を下げる: 周波数を下げることで1パルスあたりのエネルギーが増し、除去能力が向上します。
- 走査速度を適切に調整: スキャン速度を遅くしてエネルギーを一点に集中させ、1回あたりの彫刻深さを増やします。
- 多層薄削り方式: 薄く何度も重ねて彫刻することで、変形や焦げを防ぎながらより深い仕上がりに。
- 粉塵・排気処理の強化: 深彫りでは金属粉が多く発生するため、吸引装置の使用と定期清掃で品質と安全を維持します。
金属の種類(ステンレス・アルミ・銅など) によってレーザーの吸収率は異なります。 それぞれの素材特性に合わせてパラメータを微調整し、深さ・平滑性・エッジの鮮明さ のバランスを取ることをおすすめします。 小規模なテスト加工で最適条件を見つけることが、高品質な刻印への近道です。
XY軸ステージは、加工精度と生産効率を同時に高める重要な装置です。
マーキング範囲が足りない、または複数ワークの位置ずれが起きやすい場合に最も効果を発揮します。
XY軸ステージの使用が適しているケース:
- 大量・連続マーキング: 自動位置決めにより、繰り返し作業や量産加工を効率化。
- 広い加工エリア: 単一レンズでカバーできない場合、XY軸の移動でより広範囲を高精度にマーキング可能。
- 図柄の正確な再現: 複数回の位置合わせによる歪みを防ぎ、デザイン寸法を正確に維持。
- 高精度・再現性要求: 精密モーション制御と自動化ソフトの連携により、ミクロン単位の精度を実現。
まとめ: XY軸ステージは、大面積刻印・量産加工・治具位置決めなどに最適で、生産ラインの自動化効率と製品の一貫性を大幅に向上させます。
多軸統合やカスタム仕様のご相談は、ヤオホンテクノロジー株式会社のエンジニアチームまでお気軽にお問い合わせください。
速度の違いは「加工モードの違い」にあります。
文字は ベクター彫刻(輪郭線に沿って移動)で短距離・単純動作、
画像は ラスター彫刻(プリンターのように一行ずつスキャン)で、空白部分も含めて全領域を走査するため時間がかかります。
ラスター彫刻が遅くなる主な原因
- 動作モードの違い:ベクターは輪郭を追跡、ラスターは全ピクセルを走査。
- データ量の多さ:画像ピクセル数が多く、制御カードやPCの処理負荷が大きい。
- 解像度設定(DPI):DPIが高いほどドット数が増え、計算・走査時間が長くなる。
- 熱の蓄積:同じ領域を長時間照射すると焦げや変色を起こすため、速度を下げる必要がある。
- 加減速の慣性:ラインごとの加減速動作で機械応答時間が増加。
効率を改善する実用的な方法
- 適切な解像度設定:必要十分なDPIを選び、過度な高解像度を避ける。
- 塗り間隔の最適化:スキャンラインの重なりを減らすことでスピードが向上。
- 画像の前処理:コントラストを上げ、不要なグレースケールやノイズを除去して計算量を削減。
- グレースケールの保持:陰影のある画像を線画に直接変換すると品質が低下するため注意。
まとめ:陰影やグラデーションを含む画像は ラスター彫刻 のままが最適です。
DPI・塗り間隔・パワー/スピード を微調整し、スピードと品質のバランスを取ることが重要です。